ワープステーション江戸
東西テレビのスペシャルドラマ「大塩の乱」の撮影が行われたワープステーション江戸。つくばエキスプレス「みらい平駅」から車で10分。
2000年の開業当時はテーマパークとして開園したそうだが、その後経営破綻して、現在はNHKエンタープライズが運営している。あくまでも「ロケ施設」ということで、案内表示などもなく、訪れる人も多くはないとか。私が訪ねたこの日は平日だったこともあり、ほとんど客はいなかった。
正面の入口。この前の広い駐車場にも数台の車だけが止められていた。
ロケバスが入ってきたのは、上の建物の左側の道。
「いいわね、ちゃんとやんのよ」
「どうやって?」
「責任持ってよ」
「…」
「ちょっと! あの大女優の中里麗子も、エキストラの出身なんだからね」
「あの女優、嫌いなんだよ」
衣装に着替えたエキストラたちが歩いてきた「商家通り」。
曲がったところがあの太鼓橋。
時代劇ではおなじみの橋だ。
上ってきた方向。
向かって左側に監督はじめスタッフが陣取り、右側に藤堂大毅が座っていた。
「大塩の乱」では豪商の蔵という設定の廻船問屋。
エキストラたちが走っていく。
「はい、声出して! 声!」
「おお~」
撮影は2月だったから、ドラマの中の柳の木はすっかり枯れていた。
「おい誰だよ、こんなお姫さまみたいの連れてきたの」
「はっ?」
「メイクさん! もっと顔汚して」
「誰か、殺陣できる方いますか?」
「はい!はいはい!この人できます!」
「ちょっ…、できねぇよ!」
「日本人なんだからチャンバラくらいできるわよ」
「ちげぇだろ、それ」
船着き場の桟橋は常設ではないようだ。
(あ、やべっ…)
「ぶはっ…! うわっ うわっ!」
「カット! カット! おい こら! おい お前、なにやってんだよ! なに生き返ってんだよ! 芝居が台無しだよ! ずっと沈んでろ!」
夏だからなのか、池の水はびっくりするほど緑色で、かなり汚れているようだった。見えにくいけれど鯉も泳いでいる。ここに飛び込むのはなかなか勇気がいりそうだ(笑)。
「本当に申し訳ありませんでした」
「なんであんたが謝るの」
「私、彼のマネージャーなんです。許してやってください。お願いします。申し訳ありませんでした!」
「まあ、撮影にはハプニングは付き物じゃないか」
ずぶぬれの衣装のまま、遼が立って撮影を見ていたあたり。
藤堂大毅の芝居をじっと見つめていた。
「あなたが今、何考えてるか 当ててみましょうか。死ぬほど悔しい」
「…そっちこそ」
「えっ?」
「人に頭下げて、悔しかっただろ」
「…言いたいことは山ほどあるけど、まぁいい経験になったでしょ」
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