幡ヶ谷第一公園
第17話「ツインソウル」の回。映画「リ・ターン」の最も重要なシーン、「絶望の瞬間」をどう演じればいいか悩む遼が一子を呼び出したのは、渋谷区幡ヶ谷1丁目の幡ヶ谷第一公園。京王線笹塚駅から徒歩数分。
公園の入口と一子が上ってきたスロープ。
「元気そうね」
「そう見える?」
「何かあったの?」
「相談に乗ってもらいたくてさ」
「私にはもう用はないのかと思ったわ」
「用がないのはそっちじゃないの?」
「えっ?」
「俺に黙って勝手にひのでプロを復活させて、新しい女優売り出すのに必死でさ」
「へぇ~」
「なんだよ」
「嫉妬してたんだ」
「そういうことじゃないだろ」
ふたりが座ったベンチはないので、あれは撮影用のようだ。
「で? 映画はどうなの?」
「絶望…」
「絶望…。絶望って、あの絶望?」
「日本がモスクワオリンピックをボイコットして、出られないとわかったときの気持ち…。どん底に落ちるよね」
「絶望よね」
「その絶望の瞬間をさ、どう演じたらいいのか、どうしてもわかんなくて」
「で、撮影はいつなの?」
「1週間後」
「1週間後!?」
噴水から水路が続いている。
私がいた10数分、公園を利用した人は誰もいなかった。
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